研究概要
健康維持 < 腸内細菌の機能開発 >
代謝活性を活用するプロバイオティクス開発
プロバイオティクスとは
プロバイオティクスとは腸管内で働き、宿主であるヒトに対し有益な生理機能を有する微生物です。
その代表的な作用は、腸内細菌叢(腸内フローラ)のバランス改善や、免疫調節作用、抗ガン作用などです。
我々は、微生物の様々な代謝を活用することにより、宿主であるヒトに有益な生理機能をもたらす新たなプロバイオティクスの開発を行っています。
具体的には、乳酸菌による核酸代謝を利用した高尿酸血症予防プロバイオティクスの開発や、乳酸菌による脂肪酸代謝を利用した腸管内脂質代謝制御プロバイオティクスの開発を試みています。
乳酸菌による血中尿酸値の上昇抑制作用(仮説)
高尿酸血症は、食事由来のプリン体が腸管内で消化され、プリンヌクレオチドなどになると腸管から吸収・代謝され最終的に血中尿酸値が上昇することにより発症します。
現在、高尿酸血症の治療方法としてはプリン体含量の多い食事を避ける食事療法がありますが、様々な制約があるのが現状です。
我々は、乳酸菌の核酸代謝を活用し、食事由来のプリン体が吸収されにくい代謝物まで速やかに分解する事で、体内への吸収が抑制され、結果的に血中尿酸値の上昇を抑制できると考えました。
そこで、プリンヌクレオチドを速やかに分解・代謝する乳酸菌の探索を行い、これらの菌株が血中尿酸値の上昇が抑制できるかを検証することを通して、新たなプロバイオティクスの開発を目指しています。
乳酸菌による脂肪酸代謝を利用した新たな機能性脂質の開発
我々は、今まで未解明であった乳酸菌の不飽和脂肪酸代謝経路を明らかにしました。
本経路は、複数の反応からなっており、様々な中間体を生成します。
またこれらの中間体は、天然には希少な脂肪酸であり、様々な生理機能が期待できる脂肪酸です。
そこで、乳酸菌の代謝により得られる様々な希少脂肪酸の生理機能を調べる事により、新たな機能性脂質の開発を目指しています。
さらには、これらの乳酸菌による脂肪酸代謝を利用した腸管内脂質代謝制御プロバイオティクスの開発を試みています。
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